臨床神経心理
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Print ISSN : 1344-0292
臨床神経心理
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長期に進行した失名辞失語を特徴とする原発性進行性失語の一例
*太田 祥子*成田 渉*西尾 慶之*松田 実*鈴木 匡子
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会議録・要旨集 オープンアクセス

p. 23-

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抄録

原発性進行性失語(PPA)には、臨床診断基準の3型に分類できないものがある。今回、長期にわたり失名辞失語のみを呈したPPAを報告した。症例は77歳の右利き男性。73歳頃より人や物の名前の出にくさがあり、77歳時に精査目的のため当科に入院した。神経学的所見としては、右優位のパラトニアを認めた以外に、明らかな異常所見は認められなかった。神経心理学的所見としては、軽度の失名辞失語を呈していた。自発話は流暢で、時に喚語困難に伴う停滞や迂言を認めた。聴覚的理解および読解は統語を含め良好で、復唱と音読も文レベルで良好であった。書字は、漢字の想起困難を認めたものの、ごく軽度であった。82歳時の再評価でも、失語としては呼称障害のみを呈しており、復唱や音読は良好であった。この時点では、軽度の近時記憶障害と構成障害が認められた。画像所見では、77歳時には左優位に側頭葉前方部の萎縮および脳血流低下を認め、82歳時には左側頭葉に加えて両側前頭頭頂葉の脳血流低下も認めた。PPAには、本例のように長期に失名辞失語を呈する例が存在することが示唆された。

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