抄録
本研究の目的は,「天然知能」[郡司 2019]のフレームワークを基に具体的な保育場面を分析し,新たな実践が生まれ 続ける保育における保育者の専門性とは何かを明らかにすることである.これまで保育者の専門性は,理論を学び, 人間力や感性を磨き,省察と実践を繰り返す中に見出され,個人の能力に帰するものとして語られてきた.本研究 では新たに,保育者の保育実践におけるひらめきを保育者の専門性と捉え検討を試みる.結果,子どもと保育者が 共に創造する保育実践において,「天然知能」が解放された保育者の専門性が発揮されることで,保育者の意図と子 ども達の実際のギャップに外部を招喚し,保育者のひらめきがやってくることが見えてきた.この意図と実際の ギャップが開いたり閉じたりと運動し続けることが,新たな実践が生まれ続ける保育に繋がっていると考えられる.