顔静止画像から声を予測できるか否かを検証する方法として顔と声のマッチング課題があるが、この課題を用いた先行研究の知見は一貫していない(Kamachi et al., 2003; Mavica & Barenholtz, 2013)。しかし、この正答率には刺激モデルによる個人差があり(Mavica & Barenholtz, 2013)、課題遂行時の手がかりを当てはめやすいか否かが原因の一つであると考えられる。本研究では顔と声から得られる性格特性の印象の類似度がマッチング課題の手がかりとして利用されているという仮説について検討することを目的とした。顔静止画刺激と音声刺激のマッチング課題を行った結果、チャンスレベルを上回る正答率が得られた。さらに、各モデルの顔と声から受ける性格特性の評定値の類似度と正答率の相関関係が示された。これは、マッチングの手がかりとして性格特性の印象が重要な役割を担っていることを示唆する。