時間の長さの評価には,感情や注意といった要因が影響を及ぼすことが知られている。しかし,これまでは主に数秒や数分といった短い時間を用いて検討が行われており,数ヶ月や数年といったより長期の時間間隔の評価にどのような要因が影響するのかは明らかでない。そこで本実験では,2014年に起きた出来事の中から69件を選定し,出来事の認知度,感情価,日付の印象について4件法で評定を求めた。実験は間隔を空けて二回実施された。2015年の7月に行った実験では,認知度や感情価と日付の印象の間に関連は示されなかったが,出来事の生起時期によって日付の印象が変化する傾向が見られた。一方で2015年の12月に行った実験では,日付の印象と認知度の間に有意な相関が示された。これらの結果は,経過日数によって時間経過の評価基準が変化する可能性を示し,特に比較的古い出来事の時間評価には,出来事の認知度が影響を及ぼすことを示唆する。