言語確率(言葉を用いた確率表現)の「方向性」は、確率の主観的な数値解釈とは関係なしに意思決定に影響することが明らかにされてきた。一方で、言語確率は、人の認知や意思決定に大きな影響を及ぼす感情、特に直感的なものに訴える可能性がある。しかし、言語確率と感情の関係に関する知見は少なく、言語確率が意思決定に与える影響のメカニズムを感情の面から検討した研究はほとんどない。そこで本研究は、言語確率と感情の関係を明らかにすることを目指し、Implicit Associated Test(IAT)を用いて潜在レベルにおける言語確率(ポジティブ語、ネガティブ語)と感情価(良い、悪い)の連合の強さを調べた。その結果、ポジティブ語の方がネガティブ語よりも良い感情価との結びつきが強いことがわかった。これより、言語確率の方向性による影響は感情価を介している可能性が考えられる。