主催: 日本認知心理学会
会議名: 日本認知心理学会第18回大会
回次: 18
開催日: 2021/03/03 - 2021/03/04
他者の感覚知覚体験を想像する認知過程は知覚的視点取得と呼ばれる。その中でも視空間知覚の想像(視空間的視点取得)を扱ったこれまでの研究では,他者の視点から見た物体の左右位置を判断する際に,他者の位置まで自己の身体を移動させるイメージが用いられることが指摘されている。その証拠として,自己と他者の視点の角度差が増大するほど反応時間が増加する角度差の効果や,他者の向きに近づくように身体を傾けると処理が促進する姿勢一致効果などが挙げられる。本研究では,視空間知覚だけでなく聴空間知覚の想像時にも同様の身体移動イメージが用いられるか否かを明らかにするために,視覚提示または聴覚提示された刺激の左右位置を他者の視点から回答する課題を用いて2つの実験を実施した。実験の結果,聴覚条件においても視覚条件と同程度の角度差の効果と姿勢一致効果が生じ,視空間と聴空間の視点取得が処理を共有していることが示された。