主催: 日本認知心理学会
会議名: 日本認知心理学会第23回大会
回次: 23
開催日: 2025/05/31 - 2025/06/01
本研究は、注意欠如・多動症(ADHD)傾向が視聴覚注意機能にどのように影響するのかを明らかにすることを目的とした。特に、視覚と聴覚が矛盾した刺激の統合を反映するマガーク課題を用いて、静かな環境およびホワイトノイズ環境の2条件で行動成績と脳波位相同期を測定した。静かな環境下では、ADHD傾向が高い参加者ほど聴覚刺激への過敏性が強く、その結果としてマガーク効果の知覚が困難となり、前頭部と右側頭部間のα帯域位相同期が低下した。この結果は、ADHD傾向が高い場合における聴覚皮質への抑制が不十分であることを示している。一方、ホワイトノイズ環境では、ADHD傾向が高い参加者ほど視覚刺激への注意資源が減少し、前頭部のθ波活動が低下すると共に、前頭-側頭間および前頭-後頭間のβ帯域位相同期も低下した。これらの結果は、ADHD傾向が高い場合には視覚刺激へのトップダウン的な注意制御が障害され、視聴覚情報の統合に支障が生じることを示唆する。