2026 年 31 巻 p. 20-52
【背景】半側空間無視(USN)は日常生活動作(ADL)に大きな影響を及ぼす症候であり、リハビリテーション介入が重要である。プリズム適応セラピー(PA)は有効な介入の一つとされているが、重度の認知機能障害を伴う症例における臨床経過は十分に報告されていない。
【症例】症例1は82歳男性、右脳皮質下出血後のUSN例、症例2は72歳女性、右脳皮質下出血後のUSN例であった。
【介入】発症後2〜5か月より、通常診療の一環としてPAを週2〜4回、計15〜17回実施した。PAはリーチ課題として行った。
【結果】両症例において、PA介入後、頭位・姿勢の正中化および方向性注意の改善が認められ、これに伴い食事行動や姿勢保持を含むADLに改善がみられた。これらの改善はPA終了後2〜3か月にわたり持続した。一方、数列課題に代表されるトップダウン的注意の改善は限定的であった。
【結論】重度の認知機能低下を伴う半側空間無視例においても、PAは頭位・姿勢および方向性注意に作用し、食事行動を含むADLの改善に波及する可能性が示唆された。