留学生の増加に伴い、彼らへの支援が課題となっている。留学生への母語支援が不足している一方、彼らの援助要請への抵抗も言われている。そのなか、ウェブサイトなどによる情報提供の有用性や援助要請促進の可能性が検討されている。そこで、本研究では中国人留学生におけるインターネットを介した情報提供の有用性と援助要請促進の可能性を検討することを目的とした。ある日本語学校の中国人留学生328 名に、ウェブサイトを介して留学生活やメンタルヘルス関連の情報提供を行った結果、8 割以上の利用者がその有用性を評価し、23 名(44.2%)がウェブサイト利用をきっかけに相談室に来談した。また、利用あり群の方が利用なし群に比べて、専門家への援助要請意図が有意に強いことが明らかになった。これらの結果から、ウェブサイトによる情報提供の有用性と専門家への援助要請意図を促進する可能性が示唆された。また、ウェブサイトの利用をきっかけに実際の援助要請行動に至る結果から、ウェブサイトを介した情報提供が実際来談行動につながる可能性が示唆された。