留学生交流・指導研究
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留学生交流事業において参加者はどのように「相互文化性」を生成したのか
秋田県農家民泊の事例を基に
市嶋 典子
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2022 年 24 巻 p. 7-19

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抄録

本稿では、2019 年度に留学生交流事業として実施した、秋田県内の留学生・日本人学生が、農業体験をする農家民泊において、参加者(留学生、日本人学生、受け入れ農家の方)の間にどのような「相互文化性」が生成されていったのか、また、「相互文化性」が生成された要因は何かを明らかにした。分析の結果、①仲介を含む「他者とのやりとり」を重ねながら、②「個々の価値観を交換」し、③「対等な関係性」が構築されたことが確認できた。また、「相互文化性」について明らかになったことは、コミュニケーションにおける仲介者としての役割が固定的なものではなく、流動的なものであったこと、また、必ずしも、日本語能力や外国語能力が高い者が仲介役を果たしていたわけではなく、母語話者、非母語話者というカテゴリーを越えた仲介活動が行われていたとうことである。このような「相互文化性」を生成した要因としては、受け入れ農家の方の開放的な態度、実践知を挙げた。

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© 2022 国立大学留学生指導研究協議会
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