2017 年 55 巻 12 号 p. 1049-1054
近年,環境負荷を低減する取組みが各種行われている中,コンクリートの分野では副産物を利用した環境配慮型のコンクリートが注目されている。本稿では,環境配慮型のコンクリートとして,結合材に高炉スラグ微粉末や高炉セメントを使用したコンクリートを,建築構造物の地下および地上躯体に全面的に適用した事例を報告する。事前に実施した各種試験により環境配慮型コンクリートの基礎的性状を把握したうえで,環境配慮型のコンクリートを全面的に適用している。その結果,適用部位の要求性能に応じて,結合材に占める副産物の混合割合を適切に設定することで,品質を確保しつつ,二酸化炭素排出量を45%削減することが可能となった。