稚内港にある北防波堤ドーム(延長427.6m)は,1936年に竣工,1978~1981年に全面改修,1999~2002年には柱部の耐震補強を中心とした改修が実施されている。全面改修から既に30年を越えて劣化が進み,2012年には銘板が落下するなど第三者被害にもつながりかねない事故が発生したことから,構造物の劣化状況の詳細調査と評価,優先度を考慮した適切な補修計画の立案が求められた。特に,本施設は北海道遺産等に選定され,稚内市の重要な観光拠点にもなっていることから,美観への配慮も求められる。本稿では,この施設の劣化状況の点検調査結果および評価とそれに基づいて立案した補修計画の考え方を紹介する。