2011 年 8 巻 5 号 p. 6-
解離性光イオン化で生じる光電子と解離イオンの同時計測を行うと,分子から光電子が放出される様を分子座標系で観測することができ,第一原理計算と直接比較しうる光イオン化ダイナミクスの研究が展開できる.近年では,原子間共鳴光電子放出などの新しい現象や van der Waals分子,非直線分子など新しい系を対象とした研究が可能となっている.本稿では,最近の研究によって明らかにされた光イオン化の物理について,直接イオン化状態と共鳴励起状態との干渉効果,局在内殻正孔の実証,内殻正孔の崩壊および分子内電荷移動機構,単分子光電子回折現象,連続状態波動関数の対称性と光電子角度分布の関係などを紹介する.