抄録
国産もち小麦粉「もち姫」の有効利用を目的とし,国産のパン用小麦「ゆめちから」の小麦粉および外国産小麦を原料とした強力粉「カメリヤ」とのブレンド粉を用いた食パン,ベーグルの焼成を試み,製パン性の評価と物性の解析を行った。食パンの比容積は「もち姫」添加量が増すほど低下した。物性測定によるクラムの硬さは「もち姫」の添加の影響をあまり受けず,「ゆめちから」ブレンド粉の方がより柔らかく,老化しにくかった。凝集性は「もち姫」添加量の増加に伴い低下し,もちもち感が増したと考えられた。ベーグルでは,「もち姫」を添加すると比容積が増加し,「ゆめちから」ブレンド粉では「もち姫」添加量30%,40%で,「カメリヤ」ブレンド粉では40%で最も増加した。クラムの物性は「ゆめちから」ブレンド粉の方が「カメリヤ」より柔らかく,老化も抑制された。また,「もち姫」添加によりもちもち感が付与され,「ゆめちから」に対し40%添加以内が柔らかく,もちもち感があり,老化しにくいベーグルが焼成できると考えられた。