我が国の戦後の都市基盤整備の過程では、地域固有の街並みや自然よりも経済効率性が重要視されてきた。今後道路整備が進む上で、行政内部の計画策定過程の問題点を把握する必要がある。本研究では、地域資源として樹木を取り上げ、自治体に対するアンケートとヒアリングを通して、東京都内の計画策定における樹木の位置づけを考察した。結論は以下の通りである。1)柔軟な計画が戦後の事例にあまり見られない。2)道路事業の細部の計画が現行の費用対効果の考え方では評価されない。3)自治体や部署間における意見照会が十分に機能していない。4)現行の保護樹制度が継続的保存手段とはなっておらず、効果が薄いことが明らかになった。