1999年フランスで創設された都市圏共同体は、都市整備をひとつの権限とする、基礎自治体間での広域行政組織のひとつである。この論文は、フランスの広域行政組織の変遷を概観し、都市圏共同体の制度創設の背景と仕組みについて言及した上で、都市計画行政における役割を明らかにするとともに、モンペリエ都市圏共同体を例として、都市圏共同体の現状と課題について考察を行った。この研究から、生活圏である「都市圏」すべてのコミューヌによる都市圏共同体の設立には課題を残すものの、「都市圏」を単位とする都市圏共同体は、都市計画の決定主体であるとともに、中央政府と契約行為を行う「都市圏契約」という実現手段と独自の財源を持つことから、都市整備行政において重要な役割を担っていることがわかった。