自然と共生する流域圏が、近年の大きなテーマとして注目され、流域や都市における環境のマネージメント手法の確立が課題となっている。一方、流域は広域に及ぶ大河川の流域から小河川の流域、さらにそれを構成する小流域と様々な流域のスケールが存在する。本研究では、緑の基本計画などに対応する詳細なスケールにおいて、小流域を枠組みとした緑地環境の変遷をGISを用いて解析することを目的とした。詳細な分析を行うため、小流域図、土地利用図、現存植生図といった、基礎的な図面データの整理を行った。1954年と2000年の土地利用図から樹林地の増減傾向を把握し谷戸の環境特性との関係を考察した。また、各地目の変化量から小流域の都市化の傾向や緑地の分布特性について把握するため、クラスター分析により小流域を類型化した。次に、類型ごとの緑地の特性を把握するため、類型ごとの植生比率を分析し、緑地の質について傾向を把握した。