都市計画論文集
Print ISSN : 1348-284X
第41回学術研究論文発表会
セッションID: 81
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国立大学通り訴訟地裁判決・高裁判決における行為管理権認定を元にした自発的な景観維持の社会的正当性判断の要因に関する研究
*白川 慧一坂野 達郎堂免 隆浩
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抄録

国立大学通り訴訟の宮岡判決は,市村判決同様,景観のコモンズ性認識に基づく互換的利害関係としての景観利益を認定することで,地域の自発的な景観維持を条件に集合的行為管理権を認定した画期的な判決である.宮岡判決を棄却した大藤判決は,行政制度の存在を条件に集合的行為管理権を認めるべきという判断を下しているものの,審級制度の元での合法性と社会的正当性は必ずしも一致しないことから,宮岡判決に社会的正当性が認められる可能性がある.集合的行為管理権の認定条件に対する社会的正当性の判断と,その背景要因を探るために,国立市民を対象としたアンケート調査を行った結果,大藤判決よりも宮岡判決に社会的正当性が認められる可能性があると同時に,市民の行為管理権認識において地域の自発的な景観維持を認める傾向であるcommunitarian性は,価値主観的な景観選好のみならず,財としての景観の連結性という,主観的でありながらも客観的な事実認識を介して強められ,その一方で,コミュニティのルールに対する同調性によって弱められることが明らかになった.

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© 2006 公益社団法人 日本都市計画学会
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