国際観光局が組織した国際観光委員会が「山の権威」「山の専門家」を集めて、日本の山岳を中心に国際観光を進める会議を開いた。1931年に国立公園法が公布されたその3ヶ月後に会議は二度開かれ、山の観光の可能性が討議された。外客誘致の方策について先進地スイスアルプスの事情を「山の権威」にきくことから会議は始まる。スキーリゾート、登山鉄道、ホテル施設、道路等の交通施設の事例が紹介される一方、日本の現状、とくに上高地の現状について多くの問題点が指摘された。上高地における道路建設と自然保護はこの座談会の争点ともなった。アルプスの観光で国の経済を立てていると目されていたスイスをお手本と考えていた国際観光局は、(何人かの専門家によって指摘されたが)観光がどれだけヨーロッパアルプスを荒廃させてきたかについては関心を示すことはなかった。