都市計画論文集
Print ISSN : 1348-284X
第41回学術研究論文発表会
セッションID: 170
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路地保全を前提とした木造密集市街地における居住環境整備方策に関する研究
東京都中央区月島地区における3項道路型地区計画の初動的な実績と効果
*川崎 興太
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抄録

東京都中央区は、月島地区において、路地を保全しながら、「防災性の向上」と「定住性の高い住宅の立地誘導」を図ることを主な目的として、平成16年7月1日に3項道路型地区計画を施行している。本研究は、3項道路にのみ面する建築物を対象として、平成9年12月1日に施行された一団地型地区計画と比較しながら、その初動的な実績と効果を考察することを目的とするものである。本研究を通じて、以下の3点が明らかになった。第一に、3項道路型地区計画は誘因が効果的に作用し、目的の実現に効果を発揮している。第二に、一団地型地区計画は、一団地活用建築物に限っては3項道路型地区計画とほぼ同様の効果を発揮しているが、8割弱を占める一団地不活用建築物の影響が大きく、全体的にはその効果は限られており、この点で3項道路型地区計画は一団地型地区計画よりも効果を発揮している。しかし第三に、年間平均建築確認申請件数は、一団地型地区計画の施行後よりも3項道路型地区計画の施行後の方が減少していること等から、3項道路型地区計画は目的実現の前提となる建物更新の速度自体には一団地型地区計画と比較して大きな作用を及ぼしているとは言えない。

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© 2006 公益社団法人 日本都市計画学会
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