本論文では,逐次型のp-median問題およびフロー需要p-median問題を用いて,高速交通路が最適な施設配置や補足する需要によってできる空間構造に与える影響を明らかにする.結果として,高速交通路の存在は最適配置に影響を及ぼすが,施設利用者数に与える影響の度合はp-median問題よりもフロー需要p-median問題の方が顕著であること,高速交通路は施設を引き付けるが,高速交通路上の移動速度が高速になるとその近辺の施設密度は減少すること,フロー需要p-median問題では,中央の施設ほど多くの需要を獲得するが,高速交通路の存在とその高速化によってその程度は増幅されること,十字状交通路や放射状交通路ではセクターの後背地が扇状になるため,郊外に中央の施設に次ぐ副次的拠点が形成され,全体として施設の階層構造が生じること,格子状交通路や環状交通路の存在は,中央の施設への需要の集中を緩和する効果を持つことなどを明らかにする.