本論文は、都市計画道路事業に伴う街並み景観形成において、まちづくり条例にもとづく建築審査会の経験から、審査の役割りなど街並み形成にとって有益な情報を提供することを目的としている。審査会で指摘され変更されたデザインの一覧表から、屋根形態、前面空地のアメニティ、窓やファサードの開放性に関して比較的変更のあったことがわかる。また大規模な2つの敷地における審査過程が検討された。これらの結果から、いくつかの有益な示唆が得られた。すなわち、街並みの雰囲気を現す近代和風といった分かりやすい言葉、初動期に実施された街並み景観シミュレーションを伴うワークショップ、建築士が決定した直後に審査会を実施すること、施主よりも建築士の意見を尊ぶこと、これらの重要性である。