都市計画論文集
Print ISSN : 1348-284X
第42回学術研究論文発表会
セッションID: 21
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国分寺崖線二子玉川周辺における明治・大正期の別邸の地形的立地特性
*小谷野 真由巳笠原 知子齋藤 潮
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抄録

本研究は、国分寺崖線の二子玉川地区に、明治・大正期に建ち並んだ別邸の地形的立地特性を明らかにすることを目的とする。国分寺崖線は、多摩川左岸の河岸段丘であり、高低差約10-20mの崖が続き、起伏に富んだ地形を有する。明治・大正期において、本地区の崖線の斜面地は、農業用地としては生産性が低く、開拓も困難であったものと考えられる。にもかかわらず、一部の富裕層である政治家や実業家、例えば、田健次郎、岩崎小弥太、清水揚之助、第一銀行倶楽部などが、このような実用価値の低い敷地を取得し、別邸を構えた。本研究では、土地台帳および当時の地形図などの資料を用いることによって、別邸分布が明らかになった。別邸は、崖線の尾根型斜面に分布する傾向がみられた。また、多摩川縁から別邸敷地をみた透視図を作成することによって、開析谷によって台地が分節され、凸型の尾根線を持つ地形のまとまりを見いだした。そして、彼らはこの地形のまとまりと対応した敷地を取得する傾向があった可能性がわかった。

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© 2007 公益社団法人 日本都市計画学会
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