本稿は,郊外住宅地における居住者の居住選択意向を明らかにすることを目的として,福井市を対象とした調査結果をまとめたものである。主な結論は次のようである。1)全世帯の約7割は住み続け意向である。ただし,必ずしも積極的な理由からだけではない。2)一方,住み替え意向の世帯の多くは,日常生活の不便さ以上に老後の生活に不安を感じている。3)全体として,居住者の住み続け意向は敷地や住宅の規模と関係があり,敷地面積は180m2が境となっている。4)住み続け意向世帯の4割と住み替え意向世帯の6割は,現住宅を子世帯に相続するつもりがないか,または継承に消極的な見方をしている。