本稿では,近年,救急システムへの導入が進められている消防防災ヘリコプターの最適配置モデルの検討を行う.ヘリコプターを利用した救急システムの効果的な運用には,ヘリコプターの出場拠点および傷病者を収容するためのヘリポートの適切な配置が重要である.この配置を考えるためには,傷病者を搬送する救急自動車とヘリコプターの両方がヘリポートにそろって,初めてヘリコプターは病院に向かうことができるというこれまでの施設配置問題にはない特徴を考慮する必要がある.まず,正方領域を対象として,出場拠点とヘリポートの配置の基礎的な分析を行った上で,出場拠点とヘリポートの同時配置モデルを最大被覆問題の拡張として定式化する.最後に,数値例とともに出場拠点とヘリポートの配置が救急システムに与える影響を考察する.