本研究では、都市現象についてモビリティをとおして分析し、将来の都市構造の方向性とモビリティのあり方を検討することを目的とする。特にヨーロッパと北海道の都市を対象とし、モビリティの視点から比較分析を行い、今後の都市構造の方向性について検討を行った。分析の結果、北海道の都市ではヨーロッパの都市がより大きな分散を持っていることが明らかとなった。また、北海道の都市ではいずれも平均トリップ長は増加し、CBD雇用比率は減少しており、スプロール化の現象が明らかとなった。さらに、Brotchieの三角形による都市のポジショニングを用い、北海道の都市とヨーロッパの都市においける都市構造分析を行った。その結果、CBD雇用比率はほぼ同じであるが、ヨーロッパの都市は平均トリップ長が長いことが明らかとなった。このことからヨーロッパの都市は道路ネットワークが発達し、北海道と比較しても分散した都市構造であり、コンパクトな都市とはただ単に一極集中している都市の構造を目指すものではないということを明らかとした。