本研究は1960年代の急速な都市化のなかで埋没・消失した、現在は身近な都市にある文化的景観の構造を明らかにすることを目的とする。対象地域は、17世紀半ばに江戸のフリンジの地域へ水を供給するために創設された、三田用水の給水域とした。本研究の明らかにしたこと・成果は次の3つである。第一に、三田用水の形成した文化的景観の特徴は、庭園や眺望点の展開し、台地の縁の高低差を利用していることと、文化的景観を構成する景観要素は、断片化されたものの、何らかの形でいまも存続していることが明らかになった。第二に、上記の結果から文化的景観構想図を作成した。第三に、文化的景観の再生計画のための有効な方法としての文化的景観ポテンシャル図を示した。