2017 年 15 巻 p. 1-4
近年、都市における水辺の公共空間の価値に注目が集まっている。日本の代表的な水辺の公共空間の一つに江戸期の河岸地があり、河岸地について考察することは今日の公共空間の設計や運営に重要な知見を与えるものであると考える。江戸中心部の河岸地の利用実態と方法や空間構成については多くの先行研究があるが、江戸外縁部の河岸地の所有と利用について詳しく考察したものは少ない。そのため、近世における芝・金杉地域に存在した河岸地の利用実態・方法や空間構成と江戸外縁部の河岸地の公共性を明らかにした。当地域の特殊性として利用形態にはそれぞれの町の生業に応じ多様性が認められ、一方既存の町屋敷の町並みとは独立した町並が河岸地に形成されたいえる。