2017 年 15 巻 p. 53-56
本研究では都市部の重要文化的景観を対象に、文献調査や現地調査およびヒアリング調査から、文化的景観保護制度で保全対象となっている歴史的建造物を体系的に整理することと重要文化的景観への選定前後での歴史的建造物の件数変化の把握を目的とする。本研究で対象とした地区のうち宇治市と別府市および岐阜市では、既存制度の保全対象ではない歴史的建造物が文化的景観保護制度で保全対象となっていた。また、宇治市への現地調査およびヒアリング調査から、重要文化的景観選定後に保全対象の歴史的建造物の一部が滅失しており、その課題として、建造物の現状変更について届出制であること、また建物修理・修景に関する所有者の費用負担にあることが分かった。