抄録
都心商業地域を歩行者が回遊する際には、事前に計画していた活動に加えて新たな活動を追加したり、計画していた一部の活動を中止したりする行動がみられる。こうした事前の活動計画からの変更挙動に影響を及ぼす要因を明らかにすることは、回遊行動を促進するための施策を探るうえで重要な鍵となると考えられる。そこで本研究は、神戸市の都心商業地域への来街者を対象にしたアンケート調査の結果をもとに、このような事前の活動計画からの変更挙動に着目して、歩行者による回遊行動のメカニズムを明らかにすることを目的としたものである。具体的には、変更挙動による回遊行動における活動空間の大きさの変化を分析するとともに、回遊継続・帰宅、訪問メッシュの二段階の選択構造からなる目的地の選択行動モデルを変更挙動の有無別に構築し、両者の違いを考察した。