2021 年 19 巻 p. 33-36
古道は人や物の移動の場として地域間の交流を支えてきた貴重な歴史資源である。一方、現代では車での移動が 主流になっており、歩くことで感じられる景観の魅力が失われてきている。歴史古道「業平道」は、平安時代の歌 人である在原業平が河内姫のもとに通ったとされる道で、現在の天理市から八尾市に位置しており、ウォーキング ルートとして親しまれている。本研究では、業平道のシークエンス景観の空間構造を記号化することで誘引効果を 解明した。記号化について、Lynch が提唱する高速道路におけるシークエンス景観の記号化手法を歩行空間に応用 し、「空間と動作の感覚」とノード、ランドマーク、ディストリクト、エッジからなる「注視対象物の位置と見え方」 を特定して分析し、誘引効果を探った。