日本都市計画学会関西支部研究発表会講演概要集
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簡易宿所の成立背景とオーバーツーリズムにともなった変容に関する研究
川井 千敬阿部 大輔
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2022 年 20 巻 p. 77-80

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抄録

本研究は以下の簡易宿所の変容の過程を明らかにした。1)簡易宿所営業の種別が新たに定義づけされる以前、寄場に集積した木賃宿から転じて、公的な宿泊施設として簡易宿泊所が整備された。2)1957年の旅館業法改正によって、木賃宿から転じた簡易宿泊所や風俗宿泊施設、民宿等これまで法的根拠が不在のまま営業していた宿泊施設の正常化、適法化を図った。3)簡易宿所営業には旅館営業、ホテル営業のような構造基準および最低客室数の規定がなく、高度成長期以後のビジネスホテル、民宿、ゲストハウス等新たな宿泊施設の類型を受容し、宿泊施設の多様化を促進した。4)オーバーツーリズム期には民泊が新法施行に伴って抑制された一方、簡易宿所が急増し、その性質はより企業戦略的な側面を強化した。

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© 2022 公益社団法人 日本都市計画学会 関西支部
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