2024 年 22 巻 p. 33-36
本研究では世界遺産申請時に斎場御嶽の遺産及び緩衝地帯の線引きが検討される過程を調べ、その前後に作成された行政計画等と合わせて考察した。文献調査及び関係者へのインタビューを通して、コアゾーン、バッファゾーン共により広範囲に設定されるべき要素が残されていたことと、バッファゾーンがコアゾーンをどのように保護するのかが明確には説明されない形で世界遺産への推薦が作成されていたことが確認された。文化的景観としての広がりを考えると、ゾーニングは遺産、緩衝地帯共に十分とは言い難い。遺産、緩衝地帯の両者共に暫定的なゾーニングと捉えて、今後の議論等も待って柔軟に変更を考えていくことが必要であろう。