関節リウマチ(RA)では,四肢関節病変のみならず,脊椎・特に上位頸椎に高率にRA病変を合併し,RA頚椎病変による疼痛・神経障害は日常生活制限のみならず生命予後にも影響する.RAの薬物治療は,メトトレキセート(MTX)をアンカードラッグとして生物学的製剤と併用することでパラダイムシフトとよばれる飛躍的発展を遂げた.疾患活動性を制御した臨床的寛解,そして関節破壊を抑制した構造的寛解を治療目標とすることで高い治療効果が報告されているが,生物学的製剤で報告された関節破壊抑制・修復効果は手足末梢の関節破壊評価指標に基づくものであり,特有の解剖学的構造・力学環境にある頚椎で同等の効果を期待できるかは明らかではない.本稿では,RAにおける頸椎病変の病態・画像診断・および現在の薬物治療体系における頚椎病変の意義・治療について概説する.