2021 年 33 巻 2 号 p. 113-120
68才,男性.多発血管炎性肉芽腫症(GPA)の治療中急性肺炎を発症.抗菌加療が奏功せずGPA増悪も疑われたが,気管支肺胞洗浄液(BALF)よりNocardia属菌が検出されノカルジア肺炎と診断.抗菌薬加療で速やかに改善した.起炎菌はNocardia farcinicaと同定された.ノカルジア肺炎は免疫抑制患者では致死的になりうる.診断に難渋することが多いが,BALFの培養検査が有用である.また,菌種により病状や薬剤感受性が異なるため菌種同定も重要と考える.