2011 年 22 巻 1 号 p. 1_1-1_10
高強度鋼繊維と合成繊維を混入したハイブリッド型繊維補強セメント系複合材料(HFRCC)を用いた柱について,ピロティ構造柱を想定した変動軸力下の静的載荷実験を行った。HFRCCを用いることで,従来のRC柱部材と比較して,ひび割れなどの損傷が少なく,耐力や塑性変形能力に富む柱部材を実現できることを示した。HFRCCを用いた柱部材のせん断耐力や塑性変形能力の評価法について,既往の実験データも収集して検討し,建築学会・終局強度指針のせん断設計式(A法)の横補強筋量pwσwyにHFRCCの引張強度を累加することで安全側に評価できること,HFRCCによる靭性能を十分に発揮させ脆性破壊を避けるためには,曲げ降伏時のHFRCCの負担せん断応力度を引張強度以下に制限することが必要であることを示した。