2011 年 22 巻 3 号 p. 3_27-3_34
コンクリートの割裂試験による引張強度の評価法は古くから研究され,直接引張試験の強度との相対的な一致により標準的な試験法として認められている。これに関して,割裂試験にAE法のモーメントテンソル解析を適用し,破壊力学の研究成果から直接引張試験の破壊過程を支配するとされている破壊進行領域を考慮した検討を試みた。その結果によると,まず載荷板直下に損傷域が発生する。それが供試体のいづれか一方の円形端部で断面中心部に向かって載荷軸方向に進展し表面ひび割れが発生する。供試体端部にマクロな切欠きができたため,供試体軸方向の最終破断面に沿って破壊進行領域が形成されて他方端部に向かって進行し最終破断に至る。このように最終破断に至る過程が直接引張と類似の進行過程であると明らかになった。