ひずみ硬化セメント複合材料(以下,SHCC)の優れた特性を生かして実構造物に適用していくには,引張性状評価法の標準化が重要である。一軸引張性状を評価するための試験方法はこれまでにも各所で提案されているが,そのほとんどは試験体寸法が小さいものや,曲げ試験による間接評価に留まっている。構造部材中のSHCCの性能を適切に再現し評価するためには,断面を十分に大きくして部材断面内の繊維配向により近い状態とした試験体での引張性状評価手法を確立することが必要と考えられる。本研究では一軸引張試験を実施し,引張性状に及ぼす支持条件並びにひび割れの発生に伴う2次曲げの影響を明らかにすると共に,それらの知見を生かし100mm角の大断面試験体を用いて効率的に試験が実施できる新たな一軸引張試験用治具を開発した。