サイトメトリーリサーチ
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総説
サイトメトリーの臨床応用:グリオーマ摘出における境界切除部位決定
沼 義博塚崎 裕司笠井 治文李 強河本 圭司
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2004 年 14 巻 2 号 p. 63-68

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抄録

グリオーマの顕微鏡下での手術において,腫瘍の境界を決定するのに困難な場合があり,どこまでを切除すべきかは大きな問題である。 我々はグリオーマの手術において,腫瘍を部位別に採取し,術中迅速標本(FS)で腫瘍細胞の浸潤を確認しているが,永久標本(PS)とレーザースキャニングサイトメーター(LSC)にてDNA-ploidyを測定し,腫瘍の境界部決定について検討した。 【症例】astrocytoma 20例中grade II 3例,grade III 7例,grade IV 10例を対象とした。 【方法】術中に中心部(C),辺縁部(E)(術者が腫瘍と判断した部まで,ニューロナビゲーターでは画像上造影さ れている部まで),周辺部(P)の組織を採取した。LSCでは小標本をガラススライドに塗沫標本を作成し,核染色後,DNA-ploidyを算出した。 【結果】(1)grade II:FSではP部は腫瘍細胞の浸潤はみられず,全例diploidパターンを示した。(2)grade III:FSではP部は4例に浸潤例をみたが,浸潤のない部まで摘出し得た。LSCではP部は全例diploidパ ターンであった。(3)grade IV:FSではP部は少量の細胞残存例として2例あった。LSCではP部に2例のaneuploidパターンがあった。(4)ナビゲーターで(P)に浸潤例があった。 【結論】悪性グリオーマでは顕微鏡下で全摘出しても,FS,LSCでは腫瘍細胞が残存していることが多く,FS, LSCは境界切除部位決定に有用と考えられる。また、FSの結果はPSとも相違ないことが証明された

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