抄録
現代日本では軟らかい食べ物、いわゆるソフトフードが好まれる傾向がある。著者らはこのような食習慣が唾液腺にどのような影響を与えるのかについて形態学的に解析してきた。動物をソフトフードとして液状飼料を用いて飼育すると耳下腺は萎縮し、組織学的には腺房細胞の縮小、アポトーシスの増加、増殖活性の低下が認められた。成長期の動物を同様に飼育すると耳下腺の発育は抑制された。一方で、顎下腺、舌下腺、口蓋腺では耳下腺に認められるような影響はほとんどみられなかった。このようにソフトフードに対する反応は唾液腺の種類によって異なっていることが明らかとなったが、なぜこのような相違が生じるのかについても本稿では考察を加えてみたい。