環境と安全
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室内で二酸化炭素消火器を使用した場合の室内二酸化炭素濃度の測定
富田 賢吾 原田 敬章三品 太志林 瑠美子
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2022 年 13 巻 3 号 p. 57-62

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抄録

二酸化炭素消火器は小さな火や電気火災等には効果的であるが、特に室内で使用する際には二酸化炭素中毒の危険性に留意しなければならない。本研究では、室内で二酸化炭素消火器を使用した場合の二酸化炭素濃度とその時間変化を二酸化炭素モニター(測定範囲:0~9,999 ppm)を用いて測定した。床から50 cmの高さにおける濃度は消火器の噴射開始から約20秒後に10,000 ppmを超えた。窓を開放し、換気を行っていた場合、40秒程度の間10,000 ppmを越えていたが、その後、一気に減少した。一方で、窓を閉じていた場合は、200秒以上の間10,000 ppmを越えており、その後の濃度減少も緩やかだった。10,000 ppmを越えた濃度について、指数近似曲線を用いて最大濃度を推定したところ、窓を開けていた場合は約20,000 ppm、窓を閉じていた場合は約40,000 ppmとなった。床から150 cmの高さにおける濃度は、窓の開閉状態に関わらず、最大4,000 ppm程度であった。一般に二酸化炭素濃度が30,000 ppmを超えると頭痛やめまい、100,000 ppmを超えると意識喪失を引き起こすとされており、床付近の二酸化炭素濃度は比較的高く、中毒の危険はあるが、即時に意識を喪失する程ではないと推定された。二酸化炭素消火器を直接顔に吹き付けるなどの行為は避けなければならないが、極端に狭い空間ではなく、窓の開放等で換気ができる状況であれば、安全に使用できると考えられる。

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© 2022 Academic Consociation of Environmental Safety and Waste Management,Japan
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