環境と安全
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論説
大学の薬品管理における薬品管理システムの有用性
山口 佳宏青木 隆昌片山 謙吾満田 昌昭吉村 眞紀子上村 実也
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2011 年 2 巻 1 号 p. 1_51-1_59

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抄録

   大学は多種多様の薬品を保有しているため、化学物質に関する法令遵守の対応に追われている。近年、これらの対応のために、薬品管理システム等を利用した薬品管理手法が大学に導入され始めている。そこで、大学の薬品管理において、化学物質に関する法令から大学が遵守するべき条文を「入手と使用」、「保管」、「量の管理」、「掲示」に大別して抽出し、薬品管理システムでそれらの遵守項目が満足できるか検討した。
   大学内にあるすべての薬品が薬品管理システムに登録されていれば、化学物質に関する法令遵守のための「入手と使用」、「保管」、「掲示」の項目は、薬品管理システムの検索機能を使って確認することが可能である。しかし「量の管理」は、薬品管理システムの集計機能では効率的でない部分があるので、システム運用で注意する必要がある。
   薬品管理システムは薬品管理を「支援」するものと認識し、継続的にシステム運用を行う必要がある。また薬品管理システムの集計機能によって法令遵守状況を「定量化」することで、大学における化学物質に関する法令遵守の状況を把握することが、大学の薬品管理を推進させることになる。そのためには、システム運用のための人員確保や人材育成、実験廃液などの管理も含む総合的な化学物質管理システムの構築が必要である。

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© 2011 大学等環境安全協議会
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