環境と安全
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論説
大学における巡視
大久保 靖司黒田 玲子山本 健也
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2014 年 5 巻 3 号 p. 169-175

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抄録

巡視は安全衛生管理の基礎となる活動である。大学における巡視はその特殊性のため、これまで注目されてこなかったが、大学の安全衛生管理が進むにつれてその意義は高まってきた。巡視の目的は、潜在的なリスクを抽出し対策を講じ、事故災害を防止することであり、そのために「方針や法令の遵守状況の確認」、「コミュニケーションや意識の高揚」、「安全水準の評価と水平展開」が求められる。巡視を行うための体制として、指摘事項が管理者に報告されていることや指摘への対応が適切に行われているかを確認できるシステムが求められる。また、巡視の担当者に求められる素養は広範に及ぶことから、計画的に巡視の担当者を育成することも必要である。巡視の実際においては、大学や研究室の状況に合わせて段階的に巡視の内容を変えていくことが望ましく、また、巡視の指摘方法も工夫が必要となる。今後の課題として、巡視方法の標準化や巡視の効果評価などがあり、また、チェックリストや好事例のデータベース化などのツールの開発や情報共有のシステムの構築が挙げられる。

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© 2014 Academic Consociation of Environmental Safety and Waste Management,Japan
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