フッ化物イオンとホウフッ化物イオンの混合溶液の分析は、フッ化物イオン電極を用いたグランプロット標準添加法により、ホウフッ化物イオンの分解に用いるアルミニウムイオンの妨害を受けずにフッ化物イオンを定量することができ、その値からホウフッ化物イオンの分解率を求めることができた。難分解性であるホウフッ化物イオンは、常温においてアルカリ性や中性条件下ではほとんど分解せず、pH 3という酸性条件下でも2カ月後に20 %残存していたが、pH 3~4でアルミニウムイオンを添加すると約48時間で定量的に分解できることがわかった。アルミニウムイオンを添加するとフッ化アルミニウムを生成するためホウフッ化物イオンの分解が促進されると考えられる。 ホウフッ化物分解後のフッ化物イオンの処理は、カルシウム添加法とフッ素吸着樹脂を用いるカラム吸着法を組み合わせた二段階処理法を用いると、洗煙廃水のような複雑組成中のフッ化物イオンでも排水基準の 8 ppmをクリアして処理することができる。