2018 年 9 巻 3 号 p. 41-47
アジア太平洋地区における中等学校NST(原子力科学技術)教育の最近の動向を紹介した。IAEAはNST人材育成に関する技術協力プログラム(同地区における中軸教員を育成し、地域の標準的なNST教育カリキュラムの策定を目指す。第Ⅰ期2012~2016年、第Ⅱ期2018~2021年)を主催している。併せて、このプログラムにおける日本の役割と、著者らTeam JAPANが現在取り組んでいる関連の研究開発状況を紹介した。フィリピン、インドネシア、マレーシア、タイ、スリランカ、ヨルダン6か国における公式パイロット活動からのフィードバックを活かし、Team JAPANは独自にさらなる教育ツール、モジュールの開発に視野を広げている。大視野ペルチェ冷却式霧箱、教育用次世代型環境放射線サーベイメータ、教育用工作式簡易放射線計数管、自然物質を材料とした放射線源、等が主な開発事例である。学校現場に適した教育用ツールや放射線源を、どのように入手し、上手にかつ安全に扱うかが、今後の重要な検討課題となろう。