2021 年 22 巻 p. 3-13
本研究の目的は、大学体育における「ムーヴメント始まりのダンス創作学習」の内容を提示し、学習の利点と課題を明らかにすることである。当該学習は、ソマティック・ムーヴメント・エデュケーションの性質をもつラバン/バーテニエフ・ムーヴメント・スタディーズ/システム(LBMS)を用いたムーヴメントの学習を経て、ムーヴメントを出発点として創作活動を行った。質問紙調査の結果から、全体として楽しく円滑に創作活動に取り組める学習内容であったことがわかった。また「良かった点」、「難しかった点」、「振り返って考えたこと」の自由記述結果は主に、創作、表現、知識・理解、共同作業、過去との比較、未来の 6 カテゴリーに集約された。そこから、当該学習の利点として、身体的かつ言語的なムーヴメントの知は、ムーヴメントの選択肢を増やし、身体表現の幅を拡張させることが示唆された。他方、課題として、身体的かつ言語的思考を織り成す学びや、ムーヴメント言語/記号の文節的な特色が、創作活動をすすめる上で難しさにもなることがわかった。