抄録
本研究の目的はマッジ・アトキンソンの1920年代のダンス指導実践を以下の観点から分析することである。①ナチュラル・ムーブメントの構造と特徴②ナチュラル・ムーブメントの指導内容③ナチュラル・ムーブメントの教育的価値④ナチュラル・ムーブメントがダンス教育と女子教育に果たした役割。以下が明らかにされた。①ナチュラル・ムーブメントは空間の構成と人体の運動を掛け合わせて基本姿勢やバリエーションを作った。空間の構成では前後・左右・高低のどこに人体を配置するかを探究した。腕や脚の屈曲や伸展・体幹の捻転・体重の荷重の組み合わせで基本的なデザインが作られた。②日常生活の自然な運動を用いたエクササイズによって音楽と調和して動くことや、感情を込めて全身で表現することが指導されていた。③エクササイズにおける足指の動きや四肢と体幹の連動が外反母趾や腹筋の未発達を改善する点に、身体の教育としての価値が認められていた。④アトキンソンのダンス教育は思考と運動と感情を統合的に働かせるダンス教育への新たな転換をもたらした。ナチュラル・ムーブメントは伝統的な女性の身体美を人工的に作る靴やコルセットによる身体の不全を改善する役割も果たしていた。