Dental Medicine Research
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原著
ジルコニアセラミックス製試作ブラケットに対する矯正用接着剤の接着性向上のための表面処理ならびに表面改質効果
田邉 怜藤島 昭宏真鍋 厚史宮﨑 隆槇 宏太郎
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2011 年 31 巻 2 号 p. 102-112

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抄録

本研究では矯正用接着剤の接着性向上に適した接着前処理法の評価を行うことを目的とした. ブラケット接着面には3種類の表面処理 (GRD, ASB, MDP), 2種類の表面改質処理 (TBC, SLP) を施した. 各接着前処理後, 3種類の矯正用接着剤 (MMA, CMPT, RMGIC) を用いて, 牛歯エナメル質に接着させ, せん断接着強さを測定した. 試験片の保管条件は, 37ºCの脱イオン水中に24時間保管, 5ºCと60ºC, 交互に30秒間浸漬の条件下で5000回のサーマルサイクル負荷を加えた2条件について行った. その後, 破断面上の残留セメント率の画像解析による計測を行った. また, 同様に未処理の金属製ブラケットに対する接着強さの測定も行った. その結果, ジルコニア製ブラケットに対する表面処理効果は, MDP, SLP処理においてGRD処理と比較して顕著に高いせん断接着強さを示した. さらに, 接着試験後の破断面からMDP, SLP処理ではすべてのセメントにおいて, 60%以上の高い残留セメント率を示した. 以上の結果から, 試作ジルコニア製ブラケットに対するMDP, SLP処理は, すべての矯正用接着剤に対して接着性を向上させる, 有効な接着前処理法であることが認められた. MDP, SLP処理は, サーマルサイクル負荷後においても, いずれの矯正用接着剤においても接着強さの低下は認められず, メタルブラケットと同等の接着強さを示し, 接着耐久性は良好であった.

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© 2011 昭和大学・昭和歯学会
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