日本は急増する高齢者に対する医療施策として, 1986年から在宅医療を積極的に推進してきた. 1992年には医療法を改定し, 居宅 (自宅) は「医療提供の場」と位置づけられた. 老年人口割合 (高齢化率) が24%を超えた今日, 在宅医療は「外来」「入院」に次ぐ「第3の医療」として超高齢社会になくてはならないシステムとなった. これに伴い, 在宅歯科医療を利用する患者も増加し, 全身疾患や口腔機能障害の重篤度により, 求められるニーズも多様化している.
本稿では, 在宅歯科医療の概論と患者のニーズへの対応法について述べる.