昭和歯学会雑誌
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超音波診断装置のエコーレベルについての研究
-エコーレベルの物理的特性の検討-
槇 千津子岡野 友宏柴崎 好伸福原 達郎
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1990 年 10 巻 2 号 p. 154-157

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抄録

超音波診断装置は, 非侵襲的に形態, 動態分析が可能で, 幅広い分野に利用されている.現在では, 電子工学技術の発達に伴い, 組織性状を定量的に観察しようとするultrasonic tissue characterizationに関する研究が試みられている.画像処理技術の進歩に伴い, この組織性状の定量的評価の一つとして, 被写体の音響的不連続部分から反射されるパルスの強度を表わすエコーレベルの解析が行われるようになった.そこで我々は生体組織に近似したもので, 密度や散乱がそれぞれ異なるファントムを作製し, 装置自体の音響特性を含めて, 超音波画像におけるこれら因子の関与を調査した.ファントムは, 基本材料としてゼラチンを用い, 散乱物質はグラファイトとし4種類の密度のものを作製しエコーレベルを測定した.グラファイト密度が高くなると, 反射波の発生頻度も高くなり, エコーレベルも高い値を示した.グラフでは, エコーレベルは深さとともに上昇し5~6mmにおいてプラトーに達し, 深さ14~15mmで再び上昇し, 18~20mmでpeakとなりその後低下した.同一密度のファントムを用い計測点を一定とした場合, 焦点深度を変えることによりエコーレベルが異なった値を示した.また, この焦点深度撮影は撮影対象物の位置とエコーレベルのプラトーな部位が一致するように設定することにより, 装置固有の音響的特性による影響が少なく, より正確なエコーレベルの測定が可能となることが示唆された

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